2010年6月30日水曜日

イタリア旅行でインターネットを使って

6月前半に、女房と二人で南イタリアに行ってきた。今回のベースキャンプはナポリとシチリア島のパレルモにし、そこで各5泊し、そこから日帰りで行けるところを訪れた。年齢とともに、大きな荷物を携えて動き回るのが億劫になったので、海外旅行では、ここ10年来こういうベースキャンプ方式がすっかり身についてしまった。

旅行に当たっては、例によって、事前の調査や予約にインターネットを駆使するとともに、現地にも小型ノートPCを持参して、翌日の天気を調べたり、頼まれた買い物をする店を探したり、日本のニュースを読んだりするのに活用した。

今回の旅行で、インターネットで経験したことからいくつかご紹介しよう。

ブロードバンドが無料で使い放題

ホテルを探すに当たっては、いつもの通り、インターネットが使えることを条件にした。最近はインターネットが使えることを「売り」にしているホテルも多いが、速度、費用などの詳細は事前に分からないことが多い。したがって、使えそうなホテルの中から適当に選ぶしかない。

今回は、ナポリのホテルでは無線LANが使え、パレルモのホテルではLANケーブルが部屋のテーブルの上まで引いてあった。どちらも無料で使い放題だったので助かった。3年前にフランスに行った時は、パリのホテルでは、無線LANが使えたが1日2,000円程度の費用がかかった。今後は無料のブロードバンドがホテルの基本的な設備の一つになっていくのだろう。

ナポリのホテルでは、フロントで24時間通用するパスワードをもらって無線LANを使うようになっていた。少々面倒だが、セキュリティ上やむを得ないだろう。

最近買ったノートPCには内蔵モデムがないが、もうこれは不要なことが多いことが分かった。また、もう電話線やLANケーブルを持参したり、ホテルに着くなり電話回線の工事をしたりする必要もなくなった。

前には海外へ出かけるときは、全世界でローミング・サービスを提供しているiPassと一時的に契約して出かけた。海外で電話回線でのインターネット接続を使わなくなると、こういうローミング・サービスは不要になる。こういう企業は事業の変更を強いられる。

Wikipediaの誤情報にご用心!

いつもホテルはできるだけ地下鉄の駅に近いところを選ぶ。出かけるときに便利だからだ。

英語版のWikipediaに「ナポリの地下鉄」という項目があって、その中に地下鉄の路線図が掲載されていた。また「ナポリの地下鉄の駅のリスト」という項目もあって、計画中のものも含めて10路線のすべての駅名が記載されていた。計画中や工事中のものはその旨表記してあるので、それ以外は誰が見ても実在するものだった。

この情報を頼りにナポリのホテルを決めたが、そこに行ったところ、その近くにあるはずの駅は目下建設工事の真っ最中だった。グーグルなどの地図情報に駅のマークがないのを不審に思ったが、この方が正しく、Wikipediaの情報が誤りだった。帰国後調べると、イタリア語版のWikipediaでは、「ナポリの地下鉄」の項目に誤った路線図は掲載されていず、また「ナポリの地下鉄の駅のリスト」は項目自身がないことが分かった。他の言語のWikipediaは見てないが、どうも英語版固有の誤りのようだ。

今回はたいした問題ではなかったが、Wikipediaの情報を安易に信用すると危ないことがよく分かった。くれぐれもご用心を!

Wikipediaに最近の一時的情報も期待!

Wikipediaについてもう1件、これは誤りではないが、もう少し何とかならないかと感じたことがある。

最近は旅行のガイドブックを買わず、インターネットで旅行先の名所・旧跡の下調べをすることが多い。その際、Wikipediaに適切な解説があることが多いので愛用している。

その情報をもとに、ポンペイの遺跡では、ローマ人の性風俗の壁画があるという「ヴェッティの家」を見たいと思っていた。しかし、いくら捜し回っても見つからず、最後にやっと現在改修中という看板を見つけた。

また、ポンペイの「ファウノの家」にあったアレクサンダー大王のモザイク画が、現在はナポリの国立考古学博物館に展示されているというので、見たいと思っていた。しかし、このモザイクも見つからないので係員に聞くと、その部屋は現在修理中で見られないとのことだった。帰国後その博物館の公式サイトを見ると、8月末まで修理中で見られないと記載してあった。

また、パレルモの考古学博物館は、博物館自体が改修中で閉館していた。

これらの博物館や展示品について、Wikipediaには詳しい説明があり、これを利用している旅行者も多いことだろう。こういう人たちにとって、一般的な説明だけでなく、改修工事の予定や状況なども記載してあると非常に役に立つはずだ。

印刷物として出版されているガイドブックには、一時的な改修工事などを記載することは不適当だが、ウェブ情報には、その気になれば一時的な状況をいくらでも記載できる。

政府の人事異動などは即日Wikipediaに反映される。また、自然科学系でも、2006年に冥王星が惑星から除外されたときは、即刻Wikipediaに反映された。一時的な改修の情報などは、本来の百科事典の機能からは外れるが、インターネットの特長を生かして利用者に便宜を供与するものだ。

ストリート・ビューでスケッチの場所探し

小生は、趣味で水彩のスケッチを描いている。今回の旅行も、洗濯物が干してあるナポリの裏通りのスケッチを描くのが一つの目的だった。しかし、ナポリといっても広く、どこへ行けばそういう風景に出会えるのか分からない。

そこで、ウェブでナポリの情報をいろいろ検索するとともに、めぼしいところの街並みをグーグルの「ストリート・ビュー」で実際に見てみて、かなり焦点を絞ることができた。ストリート・ビューの情報なしに、現地で歩き回ってスケッチの対象を見つけるのに比べれば大変な時間の節約になる。ナポリの場合は、例えばキアイア通りは1年中歩行者天国でストリート・ビューの撮影用のクルマが入れず、また、ピニャセッカ通りの階段の路地などは、もちろんクルマからの撮影はできない。そのため、こういう裏通りのストリート・ビュー情報には限界があるが、それでも近隣の情報から様子を類推できる。

ストリート・ビューのこういう活用法については前から考えていたが、今回初めて実施してみた。(1) ストリート・ビューについては、プライバシーの侵害を主張する人も多く、その対策も必要と思うが、利用価値は大きい。

(1) 「『ストリート・ビュー』の問題・・・利便性か、プライバシーか?」、OHM、2008年12月号、オーム社

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