2012年8月2日木曜日

日本もファブレスとファウンドリの時代に



半導体工場の売却、縮小の報道が続々

本年727日の日本経済新聞によると、富士通が同社の半導体の主力工場である三重工場(桑名市)を世界最大のファウンドリである台湾のTSMCへ売却する交渉を進めているという。

一方で、富士通、ルネサス・エレクトロニクス、パナソニックの3社は、システムLSI部門を統合し、設計・開発に特化した新会社を設立する方向だという。大ファブレス企業の出現だ。

また、ルネサス・エレクトロニクスは元NECの半導体工場だった鶴岡工場をTSMCに売却する交渉をしているという。

そして、111023日の日本経済新聞は、パナソニックが同社の半導体工場の魚津工場と砺波工場の生産規模を縮小し、UMCTSMC等のファウンドリへの生産委託を増やすことを検討中だと報じた。

これらの報道の中には当事者によって否定されたものもある。しかし、交渉中の案件を当事者が否定するのは常だ。実現しないものもあるだろうが、何らかの検討が進んでいるものも多いと思う。

ファブレスとファウンドリへの2分化は不可避

米国等で半導体事業がファブレスとファウンドリに2分しつつあることは、「ファブレスとファウンドリ」(オーム社、OHM20067月号)で取り上げた。そこに、「現在の半導体メーカーの中には、中途半端な設備投資をするより、ファウンドリを使うことを考えた方がいいところもあるように思う。そして、最先端分野で活躍するファブレスが日本にももっと現れることが望まれる」と記した。それから6年経った現在、日本でもやっとこういう2分化の兆候が顕著になってきた。

半導体の製造事業には巨額な設備投資の継続が不可欠になった。そして、その投資に見合うだけの製品開発力、販売力が必要だ。それが1社で可能なのは、インテル、IBMなど、全世界でも一握りの企業だけになるだろう。それが不可能なら、ファブレスとファウンドリで分業するしかない。2009年にはAMDが製造部門をGlobalFoundriesとして切り離した。日本の企業もこういう動向から逃れられないだろう。

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