2014年12月28日日曜日

「変わったもの、変わらないもの・・・ITの歴史を振り返って」のご紹介

オーム社の「OHM」2014年12月号の上記記事が小生のウェブサイトに掲載されました。
[概要]
連載の最後に当たり、この50年間にIT製品は激変したが、ITビジネスを支配してきた力学はあまり変わってないことを取り上げる。
製品は大幅に変わっても、各社各様から業界標準へ、垂直統合から水平分業への流れを繰り返している。
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2014年12月26日金曜日

教育用パソコンとしてChromebookが大人気だが・・・


Chromebookとは?

グーグルは「Chrome」というブラウザを無料で提供している。これをWindows、Android、iOSなどのOSの下で使えばウェブの閲覧ができる。

2009年にグーグルは、LinuxのカーネルとChromeブラウザを一体化した「Chrome OS」というOSの提供を始めた。これをX86やARMのCPU上で使えば、ウェブの閲覧やウェブ上で動くアプリケーション・ソフトの実行ができる。ウェブ記述言語のHTMLが進化し、ウェブ上で種々のアプリケーションが実行できるようになったことを活用したものだ。

しかし、ウェブ上でできることには限界があるので、最近はブラウザを使わず直接Linux上で動くアプリケーションも実行できるようにした。さらに、現在市場で流通している多くのアプリケーションを使えるようにするため、Androidのアプリケーションがそのまま実行できるようになった。

そしてグーグルは、2011年に、ChromebookというChrome OSを使ったノートパソコンの標準的な仕様を定めて、自社で販売すると同時に他社にもその製造・販売を促した。

現在市場に出ているChromebookは、11~13インチのディスプレイを持つノートパソコンで、タブレットと違い物理的なキーボードが付いている。マウスやタッチパネルを使えるものもあるが、タッチパッドで操作するのが一般的なようだ。

CPUにはARM系を使ったものもあるが、現在はX86系を使ったものが圧倒的に多い。

特長は、機能を基本的にはウェブの閲覧に絞って、OSを無料にしたことによる、安さ軽さ起動の速さ集中管理の容易さセキュリティの高さなどだという。 

米国で教育用の標準に?

もちろんChromebookは学校教育だけのために作られたものではない。しかし、現在グーグルは教育市場に最も力を入れており、特に米国では教育市場での躍進が目覚ましい。

例えばニューヨーク市は、多くの学校がChromebookの採用を欲しているのを踏まえて、これを推奨機種のリストに加えた(1)。

IDCの調査によると、米国の教育市場ではアップルが長年優勢だったが、2014年第3四半期にグーグルのChromebookが教育市場でアップルのiPadを追い抜いたという(2)。

米国のこういう 状況を踏まえて、日本の教育市場でもChromebookが台風の目になるという見方もある(3)。

教育用パソコンに求められるもの

教育用パソコンは主として何に使われ、どういう機能が求められるのだろうか?

まず第1に、学習のための情報の収集・閲覧がある。従来は、辞書、百科事典、図鑑、地図、年鑑などを調べて、いろいろな情報を集めていた。そのために必要な書籍は自宅にもあり、学校の図書室や町の図書館を利用することもあった。

しかし現在は、必要な情報の大半はウェブで入手できる。したがって、ウェブで必要な情報を検索し入手する方法の学習が非常に重要になった。そして、教科書や教師が作成した補助的な参考資料の配布や閲覧にもウェブが使われるようになってくる。

これらの目的のためには、ウェブの閲覧だけできるパソコンがあれば十分なので、Chromebookはぴったりかもしれない。

しかし、教育用パソコンに求められる機能は、これだけではない。第2に求められる機能として、文章や図表などの作成機能がある。作文やリポートを書いて提出したり、理科の観察や実験の結果をまとめて発表したりするのにもパソコンが使われるようになるからだ。そして、例えば野鳥の観察記録には、鳥の写真や飛んでいる姿の映像、鳴き声の音声なども添付したいこともあるだろう。

そういうことができるソフトはChrome OSには現在揃っていない。現在一般のパソコンで使われている各種のソフトが使えることが望まれる。

そして第3に要求されるのは、学校で習得したパソコンの知識が社会に出てからもそのまま生きることだ。

社会に出れば、一企業内だけでなく、他の企業や団体と頻繁にデータの交換が必要になる。そのため、教育用だからといって、一般社会とは別のソフトウェア体系が使われたのでは不都合が大きい。  教育用パソコンの操作法は、一般社会で最も普及しているパソコンの操作法に極力近いことが望まれる。

Chrome OSの世界でも、今後は文書や図表のほか、写真や音声などのマルチメディア・データも扱えるようになるかもしれない。しかしその取り扱い方が一般社会で使われているものと異なれば、学生は卒業後勉強し直す必要がある。

マニュアル・シフトのクルマが多かった時代には、自動車学校はマニュアル・シフトのクルマの運転法を教えていた。しかし、オートマチック・トランスミッション(AT)が大勢を占めるようになると、AT車の運転を教えればよくなった。学校の教育内容は社会の要求に合わせるしかない。

Chromebookは、ここに挙げた教育用パソコンに対する要求の第1点にはぴったりかもしれないが、第2、第3の点に対しては要求を満たせないのではないかと思う。

第2、第3の点を重視すれば、現在はWindows系の安いノートパソコンということになるだろう。現在3万円程度で手に入るものもあるからChromebookと費用の面では大差ない。ただ集中管理の容易さなどの点ではウェブをベースにするChromebookなどに比べて劣るので、今後の改善が望まれる。

こういう事情は米国も同じはずなので、現在の米国の教育界でのChromebookの勢いがいつまで続くか疑問に思う。われわれはChromebookの一時的な趨勢に惑わされないようにする必要がある。

[関連記事] 

(1) "The New York City Department of Education meets school needs with effective, affordable IT",
Chromebook and iPad battle for US education market – Open thread", 1 December 2014, The Guardian

(3) 「教育PC市場、2020年には1000万台へ Chromebookが台風の目となるか」、日経コンピュータ、2014年12月11日号、日経BP社 
 

2014年12月20日土曜日

病院にもWi-Fiが必須に!


最近は、無料Wi-Fiが使えるホテル、駅、空港、店舗などが増えた。今後は、病院の病室でもWi-Fiの設備が必須になりそうだ。最近の経験からそう思うようになったいきさつを記そう。

病院でスマートフォンが大活躍!

先月、救急車で搬送されて8日間病院に入院した。家を出る時、女房が着替えなどとともに、電話連絡用にスマートフォンを持たせてくれた。ところが、実際は 電話にはまったく使わず、もっぱらインターネット端末として使うことになった。いつも使っているAndroidのスマートフォンだ。

「今度来るときはXXを持ってきて」等、女房との連絡にはもっぱら簡便なGmailを使った。

小生は専用のドメインを持っていて、いくつかのメールアドレスを使い、スマートフォンではそれを「K9 Mail」というメール・クライアントで処理できるようにしてある。知人からの訃音通知や会合の連絡には、これを使って即刻対応できた。

新聞がなくても、スマートフォンで新聞記事は大体読めた。

病院は夜9時には消灯になるが、毎日12時過ぎまで起きている小生はとても寝付けない。そのためもっぱらスマートフォンで音楽を聴いていた。

CDとiTunes Storeで購入した曲をすべてパソコンのiTunesのファイルに入れてあり、それを女房のiPodにコピーすると同時に、「iSyncr」 というソフトでスマートフォンにも入れてある。クラシックからポピュラーまで何でもある。そのプレイリストから聴きたいものを選べばよい。

YouTubeで落語も聴いた。音声だけでも落語は聴けるが、小さんの話などは、表情や蕎麦をすする動作が見られないと味わいが半減する。

もちろん、読書やゲームもできるのだが、今回の入院中は目をやられていて、長時間スマートフォンの画面を注視するのには耐えられなかったので、これにはほとんど使わなかった。

看護師の一人が、小生が絵を描いているを知ると、見たいというので、スマートフォンで見せてあげた。展覧会に出展した絵や最近の写真はすべてスマートフォンに入れてあり、いつでも人に見せられるようにしてある。

これほど毎日スマートフォンを使ったことは今までにない。もしこれがなかったら、女房との連絡がどんなに不便だっただろう。また、時間をつぶすのにどれだけ苦労しただろうか?

ただ、入院時に女房が持たせてくれたのはスマートフォンの本体だけで、すぐ電池がなくなってしまった。、娘婿が出勤途中に立ち寄って、充電器とイヤフォンを届けてくれたので助かった。

8日間で320万パケット!

スマートフォンがいかに便利かということを実感したが、問題は通信料金だ。

小生が使っているNTTドコモの3Gの回線には、月5,200円(税別)の定額契約と、月約7万パケットまでは従量制だが、それを超えても月5,700円(税別)を上限とする、従量/定額併用の契約ができる。

毎月大量に3Gでインターネットを使う人には、もちろん完全定額制の方が得だ。しかし、小生は、インターネットを使うのがほとんどWi-Fi設備がある自 宅、ホテル、駅等なので、通常は3Gでのインターネット接続をオフにしてある。そのため、3Gでの通信料は多くても月3万パケット程度で、1か月間ゼロの 月も時々ある。こういう人には、従量/定額併用制の方が得だ。

病室ではWi-Fiが使えないため3Gを使わざるを得なかった。そのため、最初のうちは通信量を抑えていたが、それでも4日目には10万パケットを超え、 上限の5,700円に達してしまった。その後はいくら使おうと料金に関係ないので、3Gでのインターネット接続を常時オンにして、安心して落語を聴いたり していた。

その結果、入院していた8日間で約320万パケットになってしまった。これが7万パケットの通信料と同じ料金で利用できたと考えれば安いかもしれないが、ホテルの部屋などのようにWi-Fiが利用できればタダで済むところなので、何とかならないものかと思う。

病院のWi-Fiは?

実は、入院していた病院にもかなり前からWi-Fiの設備がある。

7年前に入院した時は、まだスマートフォンが現れる前で、ノートパソコンをWi-Fiに接続できないか、病院中を歩き回って捜してみた。すると、ある通路でWi-Fiが使えることが分かり、毎日そこへ行ってインターネットにつないでいた。

ところが最近は、Wi-Fiに鍵がかかってしまい、病室に電波が来ていても接続できない。看護師に聞くと、業務用の端末でしか接続できず、医師や看護師 も、私用の端末を接続することはできないようだ。セキュリティ上は結構なことだが、入院患者には不便になってしまった。もっとも、小生のように病院の Wi-Fiに無理やりつなぎこんで使うのは不良患者だったのだろうが。

病院にもWi-Fiが必須に!

最近、日本でも海外でも、ホテルを利用するときは何はさておきWi-Fiを利用できるところを選ぶようにしている。ヨーロッパでも日本でも無料Wi-Fiを利用できるホテルがどんどん増えているようだ。

電話やテレビなどと同じように、Wi-Fiがホテルの客室の標準的な設備の一つになりつつある。

病院の病室でもWi-Fiが使えるようになる日が遠からず来るだろう。
 

2014年12月10日水曜日

「スマートフォンはまだ発展途上?」のご紹介

(株)エム・システム技研の「MS TODAY」2014年10月号の上記記事が小生のウェブサイトに掲載されました。
[概要]
スマートフォン1つ持ち歩けば、電話、メール、ウェブ、カメラ、電子書籍、ゲームなどに使えるので便利だ。しかし、現在はまだ問題も多い。
極力Wi-Fiを使いたいのだが、その使い勝手が極めて悪い。
自動同期や自動更新の使い方を間違えるとひどい目に合う。等々。
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2014年11月22日土曜日

「非標準が標準に?・・・TD-LTEの足跡」のご紹介

オーム社の「OHM」2014年11月号の上記記事が小生のウェブサイトに掲載されました。
[概要]
TD-LTEは元々中国移動が採用した独自の第4世代の携帯電話の規格だった。しかし、その仕様がPHSやWiMAXの次世代に適していたため、ソフトバンクやKDDIの陣営によって採用され、今や標準規格の1つになりつつある。--->全文を読む

2014年10月31日金曜日

「Windowsの更改が進まない訳は?」のご紹介

オーム社の「OHM」2014年10月号の上記記事が小生のウェブサイトに掲載されました。
[概要]
2014年4月にWindows XPのサポート期間が終了したが、新OSへの更改がなかなか進まない。その理由には、OSの更改に便乗して新製品を売り込もうとするソフト/ハード・ベンダーの姿勢もあるようだ。--->全文を読む

2014年9月30日火曜日

「成るか、三度目の正直?・・・総務省のSIMロック解除要請」のご紹介

オーム社の「OHM」2014年9月号の上記記事が小生のウェブサイトに掲載されました。
  [概要]総務省が携帯電話のSIMロック解除に乗り出した。
これは、携帯電話端末と通信事業者を、国内外を問わず、それぞれ自由に選択できるようにするものだ。そして、両市場の水平分業化により、新規参入を促し、市場の活性化を図ろうとするものだ。
今回は、2007年以来3度目の試みだが、果たして成功するか?
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2014年8月29日金曜日

「死後に備える」のご紹介

オーム社の「OHM」2014年8月号の上記記事が小生のウェブサイトに掲載されました。
[概要]無料のSNS、ブログ、ファイル共有サイトなどのデータについて、アカウントの所有者が死んだあとどう扱うか?
ユーザーの要求、サービス提供者の事情は?
フェイスブック、グーグルの対応状況は?
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2014年7月31日木曜日

「ダッシュボード戦争・・・グーグル対アップル」のご紹介

オーム社の「OHM」2014年7月号の上記記事が小生のウェブサイトに掲載されました。
[概要] スマートフォンの二大陣営であるグーグルとアップルが、それぞれスマートフォンと車載器の標準インタフェースを制定し、クルマのダッシュボードを占拠しようと本格的な戦いを始めた。
なぜスマートフォンがクルマでも主役になるのだろうか?
MirrorLinkというもう一つの標準インタフェースの運命は?
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「続々:成るか、ビットコインによる通貨革命?」のご紹介

オーム社の「OHM」2014年6月号の上記記事が小生のウェブサイトに掲載されました。
[概要] ビットコインは非常によく考えられたものだが、通貨供給量の制約、資源・電力の浪費の面で問題を抱えている。
これらの問題を解決すべく、改良版が次々と考案されている。
これらの仮想通貨の将来性は・・・--->全文を読む

2014年5月24日土曜日

「続:成るか、ビットコインによる通貨革命?」のご紹介

オーム社の「OHM」2014年5月号の上記記事が小生のウェブサイトに掲載されました。
[概要] 前号に続き、ビットコインを取り上げ、行政上の諸問題と各国の対応がまちまちで揺れ動いている状況を紹介する。
日本の政府や報道機関の問題についても触れる。
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2014年5月3日土曜日

「成るか、ビットコインによる通貨革命?」のご紹介

オーム社の「OHM」2014年4月号の上記記事が小生のウェブサイトに掲載されました。
[概要]
ビットコインで何ができ、何ができないか?
ビットコインの発明者の意図は?
ビットコインのしかけの特長は?--->全文を読む

2014年4月1日火曜日

「「リアル書店」で電子書籍を販売!」のご紹介

オーム社の「OHM」2014年3月号の上記記事が小生のウェブサイトに掲載されました。
[概要] オンラインショップと電子書籍の普及で衰退しつつある街の書店の活性化策として、街の書店で電子書籍を販売する計画が経産省主導で進められている。なぜこういう意味があるとは思えない計画が進んでいるのだろうか?--->全文を読む

2014年3月4日火曜日

「黒船頼みの電子書籍?」のご紹介

オーム社の「OHM」2014年2月号の上記記事が小生のウェブサイトに掲載されました。
[概要] 2013年11月12日の朝日新聞は、「外資の電子書籍の攻勢から日本の出版業界を守るためには、総力で街の書店を支援する必要がある」との趣旨のKADOKAWAの角川歴彦会長の意見を掲載していた。はたしてこういう考えでうまくいくのだろうか?--->全文を読む

2014年2月4日火曜日

「利便性か、安全性か?・・・無料Wi-Fiの進む道」のご紹介

オーム社の「OHM」2014年1月号の上記記事が小生のウェブサイトに掲載されました。
[概要] 
日本の無線Wi-Fiは不便だと外国人に悪評だそうだ。安全性向上のためと称している施策に、はたしてどれだけ意味があるだろうか? もっと利便性を重視しないと、世界の中で取り残されてしまう。--->全文を読む