2012年8月28日火曜日

「グーグルがプライバシーポリシーを変更!」のご紹介




オーム社の「OHM20128月号に掲載された上記記事が小生のウェブサイトに掲載されました。
[概要] グーグルは、従来サービスごとにバラバラだったプライバシーの扱いを一本化し、今後ユーザーごとに全ユーザー情報をまとめて管理するという。これは、サービスの向上につながるものだが、プライバシー侵害のリスクを高めるため、全世界のプライバシー保護団体が反発している。 ―――全文を読む

2012年8月19日日曜日

Galaxyを使ってみて(11)・・・暗中模索の事故対策



先日、突然「電話帳」の同期化ができなくなった。

Androidの「電話帳」(電話番号やメールアドレスのファイル)は、グーグルのサーバーに格納されている「Contacts」のコピーである。小生の使い方では、「Galaxyを使ってみて(9)・・・アドレス帳の1本化にチャレンジ」に記したように、大本のファイルはメール・クライアントのThunderbirdLDIFファイルだ。これをグーグルのサーバーのContactsにインポートしてある。LDIFファイルを更新したときは、旧Contactsをすべて削除して、新しいLDIFからインポートし、スマートフォンの電話帳をそれと同期化する。

いつもこうして使っていたが、先日突然この同期化ができなくなった。「現在一時的に同期化が使用できません。時間をおいて再試行して下さい」というようなメッセージが表示された。記憶によるため、文言は多少違ったかもしれない。ところが、何回同期化を繰り返しても現象は変わらない。

いろいろ調べているうちに、電話帳の中に、「グーグルのContactsの削除が多すぎます。このまま削除しますか?」というようなメッセージが残っていることが分かった。ファイルの更新時に旧Contactsをいったん全部削除したので、それがグーグルの気に入らなかったらしい。「削除する」と答えると、同期化が可能になった。

グーグルはなぜこんなことをするのだろうか? グーグルはサーバーのContactsをすべて削除するような使い方を想定してないのだろう。そのため、ユーザーが間違って削除を指定したのではないか、念のためユーザーに確認しているのだろう。パソコンなどで誤ってContactsの全削除を実行しても、スマートフォンで復元できるようになっているようだ。

誤操作が疑われるとき、ユーザーに再確認を要求するのは結構なことだ。しかし、何の詳細情報もなく、「一時的に同期化が使えません」だけでは何が問題なのか分からず、無駄に同期化を繰り返すことになる。

これに限らず、スマートフォンでは、事故が起きたとき詳細情報がまったくなく、手探りでいろいろやってみるしかないことが多い。Windowsなどに比べると、インターネットのフォーラムにも適切な情報が少ないようだ。事故対策はまさに暗中模索である。

スマートフォンのユーザーに詳細情報を知らせても、それを使いこなせる人は限られるため、このようにしているのだろう。しかし、何とかしてくれないと、暗闇でぶん殴られて途方にくれることが、今後もしばしば起きそうだ。

2012年8月18日土曜日

Galaxyを使ってみて(10)・・・突然初期画面に!



小生が使っているGalaxy SII1年前の118月に買ったもので、OSAndroid 2.3だった。

Androidには「ソフトウェア更新」という機能がある。小生はこれを、Windowsの更新機能などと同様に、バグの修正、あるいはちょっとした機能の改善で、バージョンアップとはまったく別物と考えていた。

ところが今月に入ってこれを実行したところ、やたらと時間がかかって、やっと完了すると、Android 4.0にバージョンアップされているので驚いた。マイクロソフトと違い、新バージョンを高いカネを取って売りつけるわけではないので、こうしてどんどん新機能をタダで提供してユーザーの満足度を向上させる方が得策なんだ!と、一応納得。

しかし、ここで大問題発生!

小生は、使い勝手がいいように、日常頻繁に使うアイコン(アプリケーションおよびウェブサイトのショートカット)をホーム画面に集め、次によく使うアイコンをアプリケーション画面の最初の数ページにまとめていた。そして、デフォルトで登録されているアイコンのうち不要なものはすべて削除していた。

ところが今回のソフト更新で、これらの設定がすべてリセットされ、購入時の初期状態に戻ってしまった。そのため、従来の画面の戻すのに大変な手間がかかってしまった。

これ以外の小生の設定は、アプリケーション・プログラム、電話帳、スケジュール、音楽、文書、写真など、当たり前の話だが、すべて元の状態が保持されているようだ。なぜアイコンの種類と表示場所だけリセットしてしまうのか不明だが、まったく不便極まりない。

どうもAndroidWindowsなどと違い、「ユーザーの意のままに」使うのがかなり困難なようだ。グーグルに身をゆだね、デフォルトの設定のまま使うのが、最も手間がかからず、一通りのことができるようになっている。「グーグルの意のままに」なることをあきらめるわけだ。

小生のように、メール、電話帳、音楽などについて、独自な使い方をしている人は、グーグルにとって歓迎されざるユーザーのようだ。今後もひどい目に会うことを覚悟しておく必要がありそうだ。

2012年8月11日土曜日

総務省がスマートフォンのプライバシー問題に関する提言を公表



総務省が「提言」を公表

総務省に「利用者視点を踏まえたICTサービスに係わる諸問題に関する研究会」というのがあるのだそうだ。どうしてこうも長ったらしい名前を付けるのだろう? 

それはさておき、この研究会に20121月「スマートフォンを経由した利用者情報の取扱いに関するWG」が設けられた。そして、そこでの検討結果が、本年87日「スマートフォン プライバシー イニシアティブ」として公表された。現在急速に普及しつつあるスマートフォンには、従来の情報機器とは別種のプライバシー問題があるため、その実情を調査し、今後の対応を提言するものだという。

スマートフォンが新たなプライバシー問題を引き起こしていることは、「プライバシー問題に新時代到来!・・・スマートフォンで」(オーム社、OHM20127月号)でも取り上げた。問題認識は両者ともおおむね同じである。今回総務省のWGが問題点を指摘し、今後の対応を提言したことは、一歩前進であり、評価できる。

しかし、その内容にはまだ物足りない点もある。何が問題なのだろうか?

広告目的なら何でも取得していいか?

スマートフォンの大きな問題は、機器内に個人の重要な情報が多数格納されていて、それをアプリケーション・プログラム(AP)で取得できることだ。取得目的を具体的に明確化することの必要性は本提案も指摘し、例えば「広告配信のため」と明示するべきだという。

しかし、「広告配信のため」と宣言すれば、何でも取得していいのだろうか? 実際に広告配信に使われているかどうかは第三者には検証できないので、これではほとんど無制限に何でも取得できることと変わらない。

ではどうするべきか? 取得情報は、APが宣言して利用者に伝えるだけでなく、利用者が個別情報ごとにそれを許可したときにはじめて取得できるようにすべきだ。あるAPにとって必要性が高い情報の取得を許可しなければ、サービスのレベルが落ち、最悪そのAPが使えなくなる。そして広告の配信に使われる情報の取得を拒否すれば、その人の趣味や行動にマッチした広告が表示されなくなる。しかし、これは利用者にとって、利便性、プライバシーの保護、いずれを優先するかの選択だ。現在のようにAPの提供者によって一方的に取得情報が決まる仕組みだと、利用者はそのAPを使うか使わないかの二者択一の選択しかできない。

パソコンで使われるウェブサイトには、ログインして使うか、ログアウト状態で使うかを、使うたびに選択できるものが多い。小生はグーグルのAPなどを、必要がない限りログアウト状態で使い、余計な情報を取得されないようにしている。しかし、スマートフォンのウェブサイトに対応したAPには、これができないものが多い。これも問題だ。

取得情報についての問題の解決のためには、こういう施策を要請する必要がある。

個人情報保護法との一元化が必要

一般的な個人情報の保護については個人情報保護法があり、本提案もこの法律との関連については何回も言及している。本提案は法制化については触れてないが、性善説頼りのガイドラインや指針などには限界があるので、将来法制化が問題になると思われる。その際は個人情報保護法との一元化の検討が必要であろう。

本提案はスマートフォンを対象にしているが、スマーフォンと同じiOSやAndroidOSとして使うタブレットなどでも同じ問題が発生するので、スマートフォンだけを対象にした別の法律を制定することは考えられない。

ルールの国際統一が必要だが・・・

本提案は国際的連携の必要性を強調している。スマートフォンには海外で開発された多数のAPが使われていることを考えれば、当然のことだ。また、悪意ある事業者には、日本で開発しても海外のサーバーを使って配信する者がいるので、他国の協力なしにはこの問題の抜本的解決はできない。

本提案は、各国間の政策協調などが重要だと言っているが、それ以上の提案はない。この問題の最も難しい点だが、この点の解決なしに、日本国内だけでいくら法整備やガイドラインの制定をしても、ほとんど意味をなさない恐れがある。

これは提言に過ぎない!

いずれにしれも、これは総務省内のWGの提言だ。ガイドラインや法律のベースとして、直ちに使えるようなものではない。問題点の指摘であり、提言に過ぎない。

しかし、これは重要な第一歩だ。今後これをどう育てるかが問題だ。今後の動きに注目しよう。

2012年8月4日土曜日

「『クラウド』、世界を覆う」のご紹介




(株)エム・システム技研の「エムエスツデー」20127月号に掲載された上記記事が小生のウェブサイトに掲載されました。

[概要] 近年、「クラウド」が大流行しているが、こういう通信回線経由でコンピュータを使うアイディアは、実は50年前からあった。では、最近のクラウドは何が違うのか? クラウドは、利点も多いが、問題点もある。データの消失、プライバシの侵害にご用心! ―――全文を読む

2012年8月2日木曜日

日本もファブレスとファウンドリの時代に



半導体工場の売却、縮小の報道が続々

本年727日の日本経済新聞によると、富士通が同社の半導体の主力工場である三重工場(桑名市)を世界最大のファウンドリである台湾のTSMCへ売却する交渉を進めているという。

一方で、富士通、ルネサス・エレクトロニクス、パナソニックの3社は、システムLSI部門を統合し、設計・開発に特化した新会社を設立する方向だという。大ファブレス企業の出現だ。

また、ルネサス・エレクトロニクスは元NECの半導体工場だった鶴岡工場をTSMCに売却する交渉をしているという。

そして、111023日の日本経済新聞は、パナソニックが同社の半導体工場の魚津工場と砺波工場の生産規模を縮小し、UMCTSMC等のファウンドリへの生産委託を増やすことを検討中だと報じた。

これらの報道の中には当事者によって否定されたものもある。しかし、交渉中の案件を当事者が否定するのは常だ。実現しないものもあるだろうが、何らかの検討が進んでいるものも多いと思う。

ファブレスとファウンドリへの2分化は不可避

米国等で半導体事業がファブレスとファウンドリに2分しつつあることは、「ファブレスとファウンドリ」(オーム社、OHM20067月号)で取り上げた。そこに、「現在の半導体メーカーの中には、中途半端な設備投資をするより、ファウンドリを使うことを考えた方がいいところもあるように思う。そして、最先端分野で活躍するファブレスが日本にももっと現れることが望まれる」と記した。それから6年経った現在、日本でもやっとこういう2分化の兆候が顕著になってきた。

半導体の製造事業には巨額な設備投資の継続が不可欠になった。そして、その投資に見合うだけの製品開発力、販売力が必要だ。それが1社で可能なのは、インテル、IBMなど、全世界でも一握りの企業だけになるだろう。それが不可能なら、ファブレスとファウンドリで分業するしかない。2009年にはAMDが製造部門をGlobalFoundriesとして切り離した。日本の企業もこういう動向から逃れられないだろう。