2011年3月16日水曜日

それでもマイクロソフトを使いますか? ・・・ブラウザとメール・クライアントについて



ブラウザをFirefox

多くの人と同様に、小生もブラウザにマイクロソフトのInternet Explorer (IE)を使っていた。ところがこの32日に、Windows Vistaのこのブラウザが突然起動できなくなった。ウェブに何か手がかりになる情報が出てないかと、別のパソコンでWindows 7IEを開くと、最初のうちは起動できていたが、不思議なことにしばらく経つと、このパソコンでもIEが起動できなくなってしまった。

ブラウザが使えないと、ウェブ情報の調査も、別のブラウザのダウンロードもできない。幸いにして、たまたまグーグルのChromeがインストール済みだったので、まだ本格的に使ってなかったこのブラウザを使ってみることにした。

数日間Chromeを使ってみたところ、処理の速さなどは優れているが、印刷機能や、シマンテックの 製品のパスワード自動入力機能との連携に問題があることが分かった。そこで、ブラウザをMozilla(モジラ)のFirefoxに切り替え、現在はほぼ満足してこれを使っている。

小生は1996年以来ずっとNetscapeのブラウザを使っていた。しかし、IEでしか使えない金融機関のオンラインサイトが現れたため、やむなく2003年にブラウザをIEに切り替えた。これは、「最大多数派に付く」という小生のパソコン関連製品選択の基本方針によるものでもあった。 

FirefoxNetscapeの技術の流れを引き継いでいるため、小生にとっては使い勝手が8年振りに昔に戻ったようで懐かしい。個人的な好みもあるだろうが、ブックマークなどはFirefoxの方がIEよりも使いやすい。

このブラウザ切り替えのきっかけになったIEの起動不可の問題は、翌日には自然に消滅した。これはシマンテックの自動更新のプログラムのバグが原因で、翌日再度更新したという。

セキュリティを確保するのが目的のシマンテックの製品にバグがあるのは困ったものだが、他のソフトのバグで起動もできなくなってしまうIEの脆弱性には大きな問題があるようだ。目下のところ、ブラウザを再びIEに戻すつもりはない。

メール・クライアントをThunderbird

小生はメール・クライアントについてもずっとNetscapeを使っていた。しかし、2003年にNetscapeAOLに買収され、今後のサポートに問題が出てきたため、2007年にマイクロソフトのOutlook Expressに切り替えた。当時すでにこれが世の中の事実上の標準になっていて、この切り替えも前記の「最大多数派に付く」ものだった。

事実上の標準なのでもう少しましな製品だと思っていたが、Netscapeで使っていた機能があまりにもないのに驚いた。詳細は、「悪い製品がよい製品を駆逐?」(オーム社「OHM20081月号)に記したが、複数アカウントを管理する機能、定型メールを利用する機能、メールを一斉送信する機能などだ。

マイクロソフトのメール・クライアントのもう一つの問題は、OSのバージョンごとにメール・クライアントとアドレス帳が違うことだ。これについては「何とかならぬか? マイクロソフト」、「路頭に迷うWindowsユーザー・・・メール・クライアントとアドレス帳について」でも指摘した。

 OSのバージョンがWindows XPWindows VistaWindows 7と進むたびに、メール・クライアントはOutlook ExpressWindows MailWindows Live Mailと変わり、それに伴ってアドレス帳もWindows Address BookWindows ContactsWindows Live Contactsと変わった。しかも、これらの間に相互運用性(インターオペラビリティ)がないため、OSをバージョンアップするたびにメール・クライアントの切り替えを強いられる。

これではたまらないので、今回、メール・クライアントも思い切ってMozillaThunderbirdに切り替えた。すると、前記の複数アカウントの問題などがすべて解決した。また、Thunderbirdの最新バージョンは、アドレス帳も含めて、Windows XPWindows VistaWindows 7のいずれのOSでも使える。

この4年間、不便を耐え忍んでマイクロソフトのメール・クライアントを使ってきたが、今度ばかりはどうも「最大多数派に付く」基本方針が裏目に出たようだ。小生のようにITの現状を調査して問題点を指摘している者には、これも貴重な体験と思って割り切るしかない。

マイクロソフトの問題は?

マイクロソフトのビジネスの柱はOSである。したがって、同社にとっての最重要課題はOSの市場での寡占状態を維持することだ。これさえできれば、ブラウザやメール・クライアントの売上やシェアはたいした問題ではない。そのため、同社にとって、これらの製品の品質の向上やユーザー要求の反映はそれほど重要ではないのだ。

IEの脆弱性の問題はよく耳にする。そして、Netscape10年以上前にできたことが、マイクロソフトのメール・クライアントではいまだにできない。これらは莫大な開発費や高度な技術力を要する問題ではないので、要するに力の入れ方が足りないのだ。

しかし、マイクロソフトの経営者の立場に立てば、これらは無料のソフトなので、多少シェアが減ったところで経営に直接影響するわけではない。それどころか、こういう製品に貴重な経営資源を割いたら株主に非難される恐れさえある。マイクロソフトにとって、これらの製品に力が入らないのは当然なのだ。

したがって、今後もこれらの製品の改善にはあまり期待できない。そのため、これらの製品を使えばパソコンにプリインストールされているため手間がかからないが、多少手間がかかっても他の製品を選んだ方がよさそうだ。 

Mozillaの問題は?

現在、マイクロソフトに次ぐシェアを占めている製品として、前出のMozillaFirefoxThunderbirdがある。前述のように、両者ともマイクロソフトの製品に比べれば完成度が高いようだ。しかし、Mozillaにはまた別の問題がある。

それは、これらの製品が無料であることだ。マイクロソフトの場合はOSの「おまけ」なので、同社は無料でも困らないが、Mozillaにとってはこれらが主力製品なので、どうやって事業を継続していくかが問題になる。ユーザーにとっては、将来ともサービスが保証されるかが問題だ。

Mozilla2006年の会計報告によると、6,505万ドルの売上中、95%6,150万ドルが検索サービスの掲載によるグーグルなどからのロイヤルティだ。つまり、グーグル同様、Mozillaも間接的に広告料収入に頼っているわけだ。しかし、ブラウザはこれでビジネスが成り立つかもしれないが、メール・クライアントについては別の方策が必要になる。

インターネットの世界には、他にもウェブやメールを扱う無料のソフトや、Wikipediaのような無料のサービスが多数あり、それぞれ寄付や無報酬のボランティアに支えられている。これらのうちの有用なものについては、人類の貴重な財産として今後どうやって継続していくかが大きい問題だ。

インターネットそのものが、初期には無報酬のボランティアによって支えられてきたわけだが、それだけに頼っていてはいずれ限界が来る。やはり、利用者が何がしかの負担をする仕組みが必要なのではなかろうか? それによって将来のサービスが保証されれば、利用者にとっても好ましいはずだ。

[追記] (2011/3/25)
上記に、「ブラウザをIEからFirefoxに切り替え、現在ほぼ満足して使っている」と書いたが、実は印刷機能には不満があり、特にウェブの2ページ目以降が印刷できないケースがあるのが問題だった。しかし、これは単純なバグなので次期バージョンでは直るだろうと思っていた。

上記のFirefoxはバージョン3だったが、本記事執筆直後の3月22日にFirefox 4がリリースされたので、早速インストールして使ってみた。すると、バージョン3でできなかった2ページ目以降の印刷が問題なくできるようになっていた。

これは結構なのだが、バージョン4ではバージョン3でできたシマンテックのソフトのパスワードの自動入力機能との連動ができないことが分かった。ウェブ情報によると同様の問題は前回のFirefoxのバージョンアップ時も起きたようで、今回もいずれ直るだろう。

不都合があるからといって新バージョンにすぐ飛びつくのは考えものだ。しかし、こんな問題は正式リリース前から分かっているはずなので、事前に企業間で連携して解決してもらいたいものだ。

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