契約が1,500万件に減少!
「小霊通」は日本のPHSをベースにして、1997年に中国でサービスが始まり、2006年には約9300万件まで契約を延ばした。その後中国政府は、通信事業者を再編成して3Gのサービスを開始し、「小霊通」のサービスは2011年末に終了すると発表した。この政府の方針もあり、「小霊通」の契約件数は2006年をピークに減り続けていたが、それが1500万件を割るまでに減少したという。
易観国際は、2012年中に1000万件を割り、2013年にはサービスが完全に停止されると予測している。当初の予定より2年遅れるが、完全に姿を消すことになりそうだ。
PHSの将来予測を振り返る
「小霊通」を含めたPHS系の技術については、中国に1億人に近いユーザーがいるので、全世界で事実上の標準の一つになるだろうと予測する人もいて、中国向けの製品の生産に力を入れる企業が現れた。何せ1億人というのは日本の全携帯電話の市場を超える数である。
小生はこういう見方に疑問を感じ、「PHSに将来はあるか?」(オーム社「OHM」2005年1月号)に、「小霊通」は高速性やサービス・エリアに問題があり、また「小霊通」の急成長には中国政府の政策による特殊事情がからんでいるため、今後の伸びを期待することは難しいと記した。そのため、「小霊通」の生産設備に対する投資はできるだけ短期間に回収することを考えるべきだとも記した。
しかし、日本では次世代PHSの開発計画がウィルコムによって進められ、2007年12月には総務省によってこれが次世代無線通信の一つとして認められ、周波数帯域が割り当てられた。
小生は総務省のこの決定にも疑問を感じ、「ガラパゴス脱出なるか?・・・次世代PHS」(オーム社「OHM」2008年3月号)に、中国のPHSは急速に減る可能性があるので、PHSの延長線上の技術は(かつての2Gのように)日本のガラパゴス化を促進するおそれがあると記した。
その後、「PHSはどうなる?」(09/11/12)に記したように、ウィルコムの経営が破綻した。そして、「ウィルコム再建スキームが軌道修正」(10/8/4)に記したように、ウィルコムの経営はソフトバンクによって引き継がれ、次世代PHSの計画は大幅に変更された。
技術動向の予測は、政治的要素もからむため非常に難しい。世界全体の技術の流れを冷徹な目で見通す必要がある。その時、自社や自国が持っている過去の技術の蓄積にこだわってはならない。そして、「日本発」という言葉はいったん忘れる必要がある。「日本発」ということは、全世界での技術の動向にはまったく関係がないからだ。
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